ベランダから
叫びたいのに叫びたい何かが思い浮かばないこと。
書きたいのに書きたい何かが思い浮かばないこと。
その釈然としなさ加減がどうやら嫌いじゃないらしいから、路上で歌ってる人の前では少しだけ足を止める。
まぁなんというか、そういう人を見ると、可愛いね、とは思う。
だからすべて、他人事だったら丁度良かった。
夜も明るい街は、人肌恋しい人種が集まるんだって勝手に思ってる。
朝よりも夜が好きな人が私は好きだし、だから多分、寂しさを笑って誤魔化す人とはお友達になれる気がする。
口寂しいのをシケモクの香りで紛らわすようになったら一貫の終わりだと思って爪を噛む。
鼻から抜ける夏の湿気は居心地が悪くて、一人でいると取り残された気分になる。
夜が短いから急いているんだ。
こんな時ばかりは、どうか目が覚めたら忘れている程度の夢が見れますように。