脳がない!

カリソメの体でしか生み出せないものたち

隣の○○

何かに絶望してない人なんかに、創作なんてできる訳がないだろ、と、隣の悪魔くん

愛に絶望している癖に、どうして恋人なんか欲しがるの、と、その隣の天使くん。

自分を見つめなくて済むからだろ、と言って希望を喰らって生きていた悪魔くん

ところで何かあったの、と言って愛を翻弄させていた天使くん。

何かあったんじゃない、何もなさ過ぎたのさ、と言って永遠に対して胡座を欠いていた悪魔くん

こんな時ばかり察しがいいのね、と言って蛍光灯の下の私。

 

リアリティを出すなら固有名詞を使うのが手っ取り早いと聞いたが、私の辞書に固有名詞の語彙が圧倒的に足りていない。

読んだ本に書かれていたブランド名なんか一切分からなかったのに、シャンパンの名前だけは聞いたことがあるものばかりで嫌気が差したのはつい先日。

生き様ばかりを否定も肯定もすることなく、並べられた語彙の中に愛おしい一欠片を探す、そうして何かしらの意味付けをしたいだけだった。

定義した瞬間自壊する、もしくは孤立する言葉が脆くて愛おしい。

そうして、愛だの永遠だの恋人だのを落とし込めるのが好きなのね、とうにその価値すら手放したってのに。

自衛の為の策略ばかり選んで、下ばかり見て歩いている明後日の愚弄。

愛の墓の前で缶ビールの蓋を開けて、ふしだらに掘り返して地獄の底。

そこに空いたのは無数の醜い過程。

私を嘲笑って隣の「  」