脳がない!

カリソメの体でしか生み出せないものたち

愁傷

平成最後の日に何をしますかって質問は、大晦日や元旦に似ていて、別に世界が明日終わる訳でも、何かが劇的に変わる訳でもないのに何故だが流行る。

どうしたって多分、一人でその日を迎えるんだろうし、だったらどうせなら、雨降りであるか、星がきれいな夜であってほしい。

絶望を迎えるための必要最低条件はひとりでいることだと思うから、きっとどう転んでも素敵な夜になる事だろう。

ただどうせなら、東京タワーに向かって車飛ばして、途切れ途切れになるカーラジオを聴きながら、君の吸っていた銘柄の煙草を吹かしていたい。

それで、生まれ変わったら何になろうかって何処にでもなく問い掛けて、返ってこない質問をその瞬間に置き去りにしたい。

ひとりで生きていく為に買った香水と、ひとりでは生きていけないから買った指輪をつけて、本当は一緒に過ごしたかった人に想いを馳せていたい。

それでもし、一緒に過ごせた暁には、空と海の混ざる地平線上を眺めながら、ゆっくり溶けていきたかった。

 

大好きだった私の片割れの命日を握り締めて、それでも救えぬ過去を弔う。