狭間
逃げようよ。
一緒に逃げようよ。
世界なんてやめちゃお。
何処でもない場所に、何にもなれない土地へ。
寂しい寂しいって生きようよ。
それでも今よりはきっとマシだよ。
どうして他人同士、惨めにしかならないかしらね。
現実逃避しかしていないから、アルコールの消費量が激しいのね。
見境のないセックスで明日さえ忘れたい。
ただ溺れて沈み切って、いっそ殺してくれたらいい。
それかもしくは泥のように寝ていたらいつの間にか死んでいたい。
生きている実感とかいう綺麗事、並べなくたっていいよ、そんなの必要ないでしょ。
苦しいのも、痛いのも、悲しいのも嫌いよ。
できる、やれる、大丈夫、辛くなんてない、頑張れ、なんて、他人の匙加減で決めるんじゃないよ。
出来ないものを出来ると言える程、無理なものを平気だと言える程、もう子供ではないの。
自分の背丈くらい、分かってるつもりよ。
自分の性格くらい、真正面向いて付き合わなくてどうするの。
どんどん脆弱になっていくね。
ふたりを認識するとひとりが怖くなるのって何故かしらね。
甘えだよ、ずっと怯えてる。
明日なんて考えられない、もうずっと蓋して閉じ籠っていたいよ、そこに一緒にいてくれたら最高だってね。
ダメだよ、ずっとダメなんだよ。
いっそ幽霊になってずっと君に取り憑いていたいね。