うそばかり
君の流行はぜんぶ、大好きな人の所為なのね、って、フォークソングがパンクロックに変わったりしていた。
流れる芸術性に、感動なんかしない。
昔、マイセンで焼き切った肺で、今は別の銘柄を吸っているのだろうか。
骨董品の肌で人肌恋しいと言っていた。
抱えた痛みは病気になってくれやしない。
弱酸性、荒れた素肌に微炭酸。
紙切れの端っこに、名前を書いた。
それも、ひらがなで。
何事もあろうものかと通り過ぎるので、天井のシミを睨みつけて唇が乾燥しきった。
写真立てなんて買って、どうしたの。
どうせ入れる写真なんてないんでしょ。
面白おかしく笑い立てたって、へでもない顔していた。
きっとそうだった。
満面の笑みで小さなふたりぼっちの中で心弾ませていた。
それで構わないと、他に何も要らないと、それだって朝は来るのに大丈夫だと信じ切っていた。
透明なガラスを素手で叩き割ったさ。
勿論血だらけだったけれど、骨の髄までは響いてこないんだって。
難儀なものだよ、それでいたって、嘘まるごと愛するのでしょう?