苗
きっと僕らは歪んでいた。
そしてそれに気づかずに、1Kの一室に寝転んでいた。
その補正のかけ方も分からないし、きっととんでもなくそれだけで世界が構築されていた。
ひとこと、言ってくれたら良かった。
そのひとことの為にたくさんの時間と精神が犠牲になったらしい。
グロッキー、グロッキー、グロッキーパレード。
圧倒的に足りない何かが蝕んでいく。
惰性で寝転がった精神の上に築かれた底のしれない忌み言葉。
これを誰が澄み切った犠牲と言うか。
どうしたって振り切れない感情に振り回される。
カーテンをあけたところで、入ってくる光に惑わされるばかり。
電源の入ってないテレビに映った目の下の隈にあっかんべーしたらプツンと切れる音と共に干したばかりのシーツを汚す。
ひび割れたグラスの元では何をも残さない。
灰皿の上に溜息を零す。
僕らは光合成だけで生きては行けない。
ずっと、貴方の方が強いねって、言って、その言葉を嚥下した。