脳がない!

カリソメの体でしか生み出せないものたち

ミスター

僕の見た夢は、遠ければ遠い程それはそれはよく光った。

冷たい夜空によく似合った。

伸ばした手の先に掠めるものは何も無かった。

矛盾か。

果ては暗闇か。

死にたさレベル10の僕と、生きたさレベル50の君。

ドーナツひとつ分程度で満たされる欲求だった。

ついでにあれだけ欲しかったものも手に入れた瞬間どうしてここまで執着していたのか分からなくなった。

蛙化現象に陥れた君。

ムカつくくらい愛してたって言った。

僕は君を待った交差点からの景色を一生忘れないでいてやることで、一生嫌がらせしてやろうと思っている。

僕が食べないままに一生好きでいようと思っているチョコミントアイスクリームと同じように。

緻密な計算なんて嫌いだ。

小洒落た台詞はもっと嫌いだ。

素直にしか生きられない、僕も君も。

だから僕は香水とゴツい指輪だけして交差点を横切る。

今日も明日も、通行人のフリして横切る。