地面に降り注いだ金木犀の花束
雨の匂いに混じって、金木犀の匂いが流れてきた。
黄色い花は足の裏に浮いていた。
半袖の上からパーカーを羽織って、寒さに気付かないフリをしていた。
幸いにも凝視しなくても大丈夫だと猫の鳴き声が告げていた。
近所のコインランドリーはカラフルがぐるぐるしている。
回される衣類のことを少しだけ思った。
隣で洗濯物を預けに来たイケメンは、帰りは子供を背負って来ていた。
死にたさなんて感情は、ありきたりで当たり前過ぎるから、雨に反射して散った花火で暖を取って小さな海を見る。
どうだい、炊き上がった毛布に包まって、明日はやっていけそうかい。
君の季節は終わっちゃったけど、今日も生きてるね、と、ひと捻りの花弁に呟いた。