好きと嫌いと、無関心。
君の生き方はめんどくさいね、って君が言うから、めんどくさくない生きるって行為なんてあるの、って聞き返してやった。
ないね、って言うから、ないんじゃん、って呆れて笑う。
でもさ、と続けるものだから、あぁこの話題終わりじゃないのと、まぁでも口には出さない。
そんなに万人に好かれようとしたら顔がいくつあっても足りないでしょ。
眉をしかめて彼は言う。
嫌いな人に、こんな自分もっと嫌いだろ、って提示してやるんだよ。
こんなのもっと嫌いだろ、もっと気持ち悪いだろ、もっと蔑むだろ、そんな反骨精神築き上げたら個性でしょ。
さも当然のように言う彼の感覚は少しだけ羨ましい。
自分の手に届かないからきっと羨望しているんだろうけれど、それさえ彼はきっと肯定するだろうこともなんとなく分かる。
逐一傷つくくらいなら、嫌われたことを喜べよ、それが君で、その君を好きな俺がいるんだから、と。
そうして彼はそう紡ぐから、私はやはり彼を通して自分をも好きでいられる。
そして私は名前も知らないカーラジオから流れてくる曲を口ずさみながら、その曲と同じくらいに彼を好きでいる。