あそこの部署の○○さん
噂話が好きな人は一定以上に存在しているらしい。
人様の失敗が好物で、それを餌として喰らってる。
他人の不幸は蜜の味。
決して甘くない、蜜の味。
そうしていないと自分を保てない人はそうでない人より遥かに多いらしかった。
好きなだけ喋り倒したらまた次へ、次へと標的は移ろう、季節なんかよりずっとはやく。
その色ごちゃまぜの流れる様は見事よね、ある意味絶景。
ただそこに、忘れ去られた当事者ですら見えない傷跡がついたりする。
それを客観的に聞いていて、あまり興味が持てないから、それだけ自分に余裕がない。
あそこの部署の○○さんなんて知ったことではない。
そんな興味だけで1日の大半を費やす生活がしてみたい。
曖昧な何かだけで語れる日常を送ってみたい。
経験してないものなんて、果たして本当に理解することができるのだろうか。
まして、どこからか流れた信憑性のないものに真実なんてあるのだろうか。
好きの反対は嫌いではなく、無関心。
だけれど無関心は時に誰かを守るらしかった。