片思い失格
気怠い体をベッドから剥ぎ取るのに朝の短い時間を費やすのに慣れた頃。
夢見が悪すぎて軽い不眠症。
必要ないからと言われる夢を、愛しているものを失う夢を、重ね重ね見るから質が悪い。
夢の中くらい、せめて優しくできないのかと無意識に涙流す。
廃れたSNSだと思っていたmixiからメッセージが届きましたとメール受信する。
ログインの方法さえ覚えてないからそのメッセージには一生お答えできません。
宙ぶらりんの言葉はいつだって、最後は自分を蝕んでいく。
例えばそれが無視できないものだったとして、諦めきれない感情をこうしてゴミ箱に捨てることが果たしてできるだろうか。
大事なものを目の前にして、堕ちていく心臓と病んでいく思考回路をどうか許してほしい。
東京の空は星が見えない。
ベランダで一本百円もしない缶チューハイを飲んでいたって、真っ暗にはなれない。
半分飲んで、水分量に気持ち悪くなって三階から中身を捨てる。
重かった中身は即座に空っぽになって、安いな、って缶を潰す。
泣き虫は嫌われるし、誰も必要としてないからこっそり空気に同化させる。
心の穴はどうせセックスなんかでは埋まらないのに、それでしか留めておけないから、求めて溺れてそのまま愛した。
ほんの一瞬だけのここにいる慈しみだけで震えるその手を背中に回して、体温を感じて存在を抱き締めて、手放したくない、私のものにならない体。
愛されたいのは誰しも一緒で、求められている安心感だけで眠りにつけたら、不眠症なんかではきっと悩まされないだろうに。
煙は空に広がって、消えて、匂いだけが、まるで忘れさせないかのように残る。
吸った煙草からは数日前に交わしたあの人のキスの味がした。