脳がない!

カリソメの体でしか生み出せないものたち

残暑が好きなのは、空が綺麗すぎて2℃上がった体温を焦燥感が締め付けるから。

他愛もない事で、どうしようもない理由で、身勝手な都合で、失うものの多さに絶望する。

後悔は、いつだって先に立って待っててくれない。

明日、失うかもしれないこと、死ぬかもしれないこと、壊れてなくなるかもしれないこと。

目を瞑って生きている。

明日、空が飛べるようになったり、どこでもドアが開発されたり、魔法が使えるようになったりする事より、明らかに現実的なのに。

 

ずっと、怖い。

見捨てられるのが、いらないと言われるのが、大切な人から嫌われるのが。

同じ理由で、誰かを愛したり好きになったり大切に思うことさえも怖くて仕方ない。

どれだけ身を粉にしたって、どれだけ自分に刃先を向けたって、勝手に苦しむばかりで報われない事なんて、余裕である。

節制された生を歩いてきた。

作られたものでしかなかった私の価値は、そうるすことであるかのように思っていた。

果たして、承認欲求や存在意義は、それを認められてこなかったからだと思い込んでいる所為だろうか。

だけど、それでも、私に選択肢なんてなかった。

ただ、愛されたいだけだった筈の午前2時。

時は暴走を続けただけだった。

 

愛と平和を願って戦争が勃発する。

自由だ意義だを掲げて運動が起きる。

テレビをつけて流れる横文字には興味がなかった。

セックスしたって貴方が見えないの、と愛に飢えて泣く女。

ギターを片手に叫びたいことさえ見つからない売れないロックミュージシャン。

割れたスマホの画面でAVを見る親父に、下らない下ネタで爆笑する下品な女子高生。

明日晴れでも雨でも、傘なんて用意しないって心に決めてる。

チョコレートミントアイスは一生食べないままで愛そうってずっと思ってる。

アスファルトの上で轢かれて死んだ猫を、来年も再来年も思い返したい。

雑草をわざわざ植木鉢に植えて育ててみたい。

そしていつの日か、愛する誰かを守るためだけに生きたりしてみたい。