君の泪が欲しい
初恋の彼が吸っていた、マイルドセブンの10ミリグラムは今の私には重くて。
その煙を吐き出した途端に咽込んだ。
今、何処で何をしているかなんて知らない、名前すら、知らない。
それでも言葉にしなかったすべては体の奥底に染み込んでいた。
だけど、それは昔の話。
いつだって、過去は今を越えてはこない。
言葉で証明できるものなんて無力だ。
語られないものの中に真実があったりする。
だから、塞いだその唇から溢れ出てしまえばいいと何度となく思った。
けれど、未練なんて持ったらろくな事にならないことは子供ながらに分かっていたつもりだった。
あなたに今出会えてよかった。
あの頃出会っていたら、私のすべてになっていた。
大切すぎて、傷付けられなくて、手が出せなかった。
狂おしい程に抱いて、掻き乱して。
ぐちゃぐちゃにして私を犯して。
考えられない程に、息もできないくらい。
あなたの手の中で窒息したい、明日なんて来なければいい。
奥深く突き込んで、腹の奥まで塗り潰して。
私の中で泣いてくれ。
ひとりでなんて泣かさないで。
あなたの泪が欲しいだけ。