脳がない!

カリソメの体でしか生み出せないものたち

この世の大抵のことはそういうプレイだって思えばしのげる

友情も青春も恋愛も思春期も、今思えばすべてエンタメだったのかもしれない。

夜の散歩に出掛けたら空の匂いがしたし、開いた小説からは風の匂いがしていた。

だからといって、別に駆け出したところでストーリーは始まらなかったし、ポップチューンさえ流れてくれやしなかったけど。

今やセックスも商売も金も欲情も、一重に同じ匂いがしている。

失う物なんてそこにはなかった。

諦めていた、そこから繋がるものに対して。

綺麗に死んだりなんて、だからきっともうできない。

毒りんご食べたってケロッとしてるだろうし、呪われたってそれにすら気付かない気がするし、ちょっと禁忌を犯したくらいで何百年も眠りにつけない。

美しくなんてなれないでしょ、部屋も頭の中も散らかり放題で。

精々名前のつけられないような形容し難い欲望を抱えて生きるくらい。

だったらせめて、艶やかさを纏える人間になれたらよかったのに、それすらできないから一層に哀しいものね。

多重人格障害だなんて、難しい言葉にしなくたってそんなの、とうの昔っから知っているわ。

 

堕ちたその先が地獄ならば嘆くことができたものの、汚れる癖に周りに咲くのはおぞましく美しい華ばかり。

果てまで苦しみましょう、どうか、ご存命のあるままに。