さよならさんかくまたきてしかく
風が凍てついて二月。
街中を駆け巡る足音は軒並み早々と通り過ぎる。
乾いた音だけで構成された侘しい季節。
めいっぱい空気吸い込んだら窒息する感じ、嫌いじゃないけど。
誰かの心に残るというのは傲慢だろうか。
心を揺すぶって動かす存在は果たして脅威だ。
それまでの自分の価値観や意識を覆されかねない。
恨まれていても、憎まれていても、誰かの心について離れないような存在になれている人が私は羨ましい。
そして、そういう存在に対して期待しているという状態が、決して美しくなくて、健康的でないことも分かっている。
期待することは、他力本願、受け身であることと同義であると思う。
他人の手で舞い上がったり絶望させられるというのは、物凄く座りが悪い。
一人で生きていく覚悟を。
創造して、変えていく決意を。
一人で絶望にぶつかりに行って、生きて帰ってくるだけの心を。
昔から、忙しいくらいが性に合っていた。
辛いことも苦しいことも、忙しければそれに甘んじて忘れられる。
忙しさの行使をしているから、結局何も文句言えないのだ。
忘れたかった、何もかも。
目を瞑って後ろに倒れた時、私を支えてくれる人がいるんだろうか、なんて。
そんなこと、考える暇もないくらいに。
頭で理解していて心が追いつかないことが多過ぎる。
妄想は現実を越えては来ない。
こんなこと考えてたって、役に立たない事の方が多い。
それなのに、また立ち止まる、同じような所で。
ズルいさ、だから、そんな大人はいつまで経っても嫌い。
また、夜の闇に飲まれる。
でもこれが、永遠ではないことも、わかっている。