麻薬物質
屋上は常に秘密と侘びしさと甘酸っぱさを孕んでは、一面の喧騒を風と共に吸い込んで噎せ返るくらい、ひとりぼっち、もしくはふたりぼっちとともにあるべきだった。
灯りだけが生存確認とやらを示すなら、今日も夜中がご死亡になられて薄汚れた空の星。
あっちの方角、そのまま突き進めば会えたはず、航空障害灯がいくつもの星座を成して邪魔する、目視でなんて確認できません。
別の銘柄の煙草に浮気をした。
余計にずっと吸ってた煙草が恋しくなった。
自殺をするには高度が足りない、愛に飢えるには距離が足りない、絶望するには速さが足りない。
足りない足りない足りないモノだらけの星でゴミばかりを生成する慈善活動。
空気と同化できたら一目散に君に吸われるだろう。
肺、循環器、心臓、音。
心臓の殆どが持っていかれているのだから、生まれ変わったら君の細胞の一部になれる気がする。
その存在は、麻薬物質みたいに私をずっと殺し続ける。
ところで、君に言葉は届いてますか。