瘡蓋
夢を見た。
あなたには人の心が足りない、と言われる夢。
久し振りに見た、それは昔の記憶。
掘り返される傷跡、カサブタを剥くみたいに。
どうせ、他人は、ずっと他人同士。
何にもなれやしないよ。
だから、情けないよね、傷つけても、傷つけられても、きっとずっと後悔するんだ。
崩れる音がする。
壊れちゃうね。
何かの為に生きている人なんてフィクションっぽくて煌めいているから私の部屋には存在しない。
繰り返す、何でもない日。
何が良くて生きているんだか、とてもじゃないけど見えないさ。
ひとつも楽しい事なんてないのによく平気なフリしているね。
明日になって火事になって、私の肉体ごと焼け落ちてもきっとそれでよかったって、なるんだろうなぁ。
少しくらい、燦めいた両の手を、分けてくれたっていいじゃない、見せびらかしやしないよ、そんなことで生まれるエゴなんて嘘つきだもの。
大丈夫じゃないよ、これから先誰を頼って生きたらいいの、会えもしない人をずっと想ったって、甘えられやしないのに。
それでも、これでも、ゆっくり歪んでゆっくり壊して、愛してしまうから歯が立たない。
ムカつくよ、私が唯一の技量で大層殺されるよ。
どうにもならないから、小さい嗚咽で今日も世界を無理矢理終わらせるんだ。