羽化
死にたいなんて感情は凡庸だから、それをただ飼い慣らすことに徹する。
態々語るまでも無い、溶け込んでいるものたち。
聞いてない、誰かの深淵なんて知らないし、そんなの当たり前って、下手くそな笑い方で達観などしちゃって、想像力すら及ばない。
読解力もない癖に、紡がれた単語だけで汲み取った気になって泣けるのね、意地悪言われたって分かりゃしない、お目出度い頭でなにより。
あぁどうしたら良かったよ。
そうして願った希求としての感情と、求められた役回りとしての正しさが、異なったとしたらどちらを選ぶよ。
素人質問で恐縮ですが、正しい生き方をご教授下さい。
他人の感情も言動も、透過できないから常に並列した可能性の細部までを顧みている。
こいつはなんだ、救えなかったもの達だなって悪人顔して押し通したって、どうせ死なれたら困るなんて真っ当にみえる理由を探して切り口を見出そうとする。
俺はもういついなくなってもいいんだなんてほざいていたのは一体どこのどいつだったか。
君は死に間際の悪足掻きに、生命の羽化を見たか。