脳がない!

カリソメの体でしか生み出せないものたち

2023-01-01から1年間の記事一覧

サボテンの花

レシートの裏に走り書きされた「牛乳、卵」の文字。 598円相当の愛情。 干された洗濯物ごとカーテンが揺れていた。 不器用なりのサボテンの育て方。 水だって腐るってことを知らないみたいに置かれたペットボトル。 かつて花瓶だったそれにはパスタが生けら…

ド底辺ボーイ

頼んでもないのに期待して、勝手にショックを受けたなどとほざいて、挙げ句の果てには押し付けがましく被害を説いていた。 虚像なんて愛には及ばない。 動画広告のほんの数秒すら待てない、垂れ流しの個人情報。 遡っても全部同じ角度のロボットみたい。 ど…

生成AI

大事に保管しておいたつもりだった言の葉たちは、実のところ浮遊していて次の日には泡になっていた。 人間の記憶力の曖昧さはもう少し見直されればいいと思うよ創設者。 それともそれだけ悲しみに柔く忘れる事を覚えたか。 記憶領域を体外に増設している怠惰…

夜爪

爪切りを探していた。 散らかった部屋でその小さな一つを見つけるには、引き出しの中身をすべてひっくり返す必要があった。 小さいことで、多分これは悲しいとかそういう類の感情で、頭の中を蔓延して、でもそれらがどこから来ているのか分からなかったし、…

因果応報

白い眼の中心で、冷や冷やしているのは凡そ吐き散らした暴言を掬った人間のみで、私はというと、それを知っていながら至って冷静に笑っていた。 誰も彼もから好かれる訳ではないから、一握りの好きでいてくれる人に対しては真摯でいたいだけのつもりであった…

月並み

満身創痍で100%の悪意を以て、 憎めた方が少なくとも優しかった、 中途半端に良心なんてものを置いてしまっているから傷ついた顔ひ とつ受理されない。 年齢だとか、性別だとかで、 許されたり許されなかったりすることに対して、 酷く恨めしいと思いながら…