脳がない!

カリソメの体でしか生み出せないものたち

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

新宿の唄

ドクターマーチン履き潰して、片方の紐がどっか飛んでった。 ちっともおしゃれじゃないジャケットで着飾る若者。 剥がれかけたマニキュア溶かして、ささくれだけが目立ってる。 唇の皮を捲るのが癖だったよなぁ。 いつか呼吸をするだけで金がかかる時代がや…

胡蝶の夢

昔者荘周夢に胡蝶と為る。 栩々然として胡蝶なり。 自ら喩しみて志に適えるかな。 周たるを知らざるなり。 俄然として覚むれば、則ち蘧々然として周なり。 知らず、周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるかを。 周と胡蝶とは、則ち必ず分有らん。 此…

さよならさんかくまたきてしかく

風が凍てついて二月。 街中を駆け巡る足音は軒並み早々と通り過ぎる。 乾いた音だけで構成された侘しい季節。 めいっぱい空気吸い込んだら窒息する感じ、嫌いじゃないけど。 誰かの心に残るというのは傲慢だろうか。 心を揺すぶって動かす存在は果たして脅威…

愛しき嫌われ者

消えかかった街灯 煙草の煙 擦れた靴 寒い夜の雨の匂い 萎れた彼岸花 味のしなくなったガム 朝方の新宿駅 通勤ラッシュ スマホしか弄れない右手 SNSの無意味な言葉の羅列 あれがしたいこれがやりたいと言ってできない人 愛されたくても愛せない真夜中の住人 …

君は東京

私が何かを成し遂げようとしたとき、必要なのはひとりで生きていく覚悟だった。 そして同時に、その時私は自分がどこまでも女であることをまざまざと見せつけられた。 突き通すのは難しいこと? 嫉妬、芽吹く混沌。 誰かを妬み嫉むのは自信がないからだと、…