肉親
さよならも言わないで、心が死んでいく、冬。
挨拶しましょうって、学校で習わなかったの。
涙の蒸発からできたカプセルが宇宙で大暴走して爆発したとき、君はまだぬくいベッドの中にもぐり込んでいた。
NetflixもTSUTAYAも、すべり台を転げ落ちる程度の絶望しかくれなかったから、雨の日にお気に入りの本を投げ捨てる。
私が愛する人は私にとって都合が悪くて少しだめな人で、それでもふと尊敬できて魅力的で、総じて自信がある人でした。
それから多分、晴れの日の昼間より、雨の日の夜の方が似合っていたと思う。
アスファルトの匂いが染み付いた黒いジーパン穿いて、のうのうと歩いている。
燻った感情が古傷のように痛むのを、刺青だと言って笑った。
季節外れの向日葵の花が豪快に咲いている。
いつの間にか傷付いた錆びたナイフで血塗れたどこぞの深爪。
ノクターンのオルゴールは音がひとつ欠けている。
君にはしばらく会えないみたい。
好きなもののせいで私は生涯孤独でしたって言い切って死にたい。