脳がない!

カリソメの体でしか生み出せないものたち

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明後日の方向を向きながら、古本で買った太宰治を読んでいた。

行間を読む能力が欠如した果てに、結果ばかり先走って、結局それでって聞くばかりで、分からないでいる選択をしたものから問いかけられている事を解かろうとしない。

で?だから?結局なに?

どうせ説明文さえ読もうとしない癖に、矢鱈と情緒に欠けた台詞が連なる。

それでいて最近の映画館ではスマホの光が植わっているらしいから品のないイルミネーション。

 

忙しい忙しいとコンテンツばかりが増え過ぎて、追われるのは仕事や締切だけではなくなって、娯楽にまで後ろ手煽ってきた。

圧倒的に駆け回っていく流行とスライド操作で流されていく視覚に対して、ひとつに費やす時間が足りていない。

あれも見なきゃ、これもやらなきゃ、だから映画もエンドロールだけで見た気分になって、本も後書きだけ読んで感想文を書いている。

その割に何もない休日に限って、温い布団と友達決め込んで、動かないと期した怠惰を許している。

 

かく言う私も母から届いた「今皆既日食だよ」のラインに既読をつけただけで、空も見上げずに、囲まれたビルと目に痛いほどのヘッドライトを目前にただ寒さを耐え忍んでいた。