Anser
何かを惜しんで綺麗な言葉を今更並べたって、そこまでに費やした破綻した言葉達の所為で、何一つとして正面から真っ当に伺えない。
哀しみの助力をしたのは、それでいて被害者面して、やれ同情、やれ共感、私だってきっとずっと悲しかったんです。
哀願込めて言ったって、遅かれ早かれ化けの皮剥がれるのが関の山。
だらしが無いから黙って見てる、あれもこれもそれも全部他人事だから生きていられる。
そういう方がきっとただしく等しくじょうぶなんだよ。
なんとなく大丈夫そう、理由はないけど安全そう、っていうのは、きっと財産だった。
私は賢いから、騙された振りして知らん顔しといてあげる。
物語の主人公を演じるのには恥が出て、彩るだけでは疎くて、無視を決め込むには頭一つ分卑しかった。
悲しみひとつ、持っておけないから忘れる。
すべてを受容していたら破綻してしまう。
君に見えている景色と僕に見えている景色がまるで違うからそれを想像力として笑って囃し立てる。
時として見えたり見えなかったりするからそれを創造力として疲れ切った顔で安堵する。
どうしようもなくてどうにもできないものを、それじゃあ仕方ないねと落とし込むには些か未熟であったから傍観が出来ない。
形容し難い事象を前に、私達はただ何かを見出したいだけだった。