脳がない!

カリソメの体でしか生み出せないものたち

最後の君

自由を欲して身から出た錆。

木が生い茂っていて日が沈んでいたから、落ちてくる屑星を掴めそうだったのに、泥濘に嵌って脳が死んでいた。

刃が刺さった鈍痛から内臓飛び散って漏れ出す泥水。

いつ死んでもいいよって君が言ったのに、寸での所で生かして殺していた。

ぶっ刺したいんだ、心臓を。

最後の君でいさせてくれって、岩のように冷たい手でその流れる音を聴いていた。

綺麗に染め上げる色が赤で良かったって言いながら、薄汚れた背中を必死に掻き毟って守ってる。

僕の愛した吐息が、凍てつく霰になって降り注いだ。

喉の奥に焼けた執着心が突き刺さって声にならない声だけ零れて、唾液が濁って時を溶かした。

視界は回って酔っているのに、思考はやたらと澄んでいて、恐怖に気でも狂ったかと、盲目的に濡れた純真を振り下ろしていた。

君の概念だけが好きだった。

巨大な鉄塔の真ん中で、吊るされた屍が燃えて空の肥やしになるのが、美しいと思ったよ。